組織運営とIT その1 用語の定義

組織が大きくなるに連れて、どうもスピード感が鈍る。
意思疎通が悪くなる。そんな時の処方箋です。
今回はまずは「用語定義」の重要性の話です。

昔はうまくいっていた?

会社が成長するにつれてまわりがどうもうまく動かない。部下とは常にコミュニケーションを心がけているのだが?

こう感じる経営者の方々も多いと思います。
なぜでしょうか?
この話、特に急成長を遂げたベンチャー社長から良く聞きます。
「自分が、やっていた時は少人数でも、うまくやっていた。」皆さん、そうおっしゃります。
「昔はうまく行っていた。確かに最近、人数は増えたかもしれない。だからこそコミュニケーションの機会を増やしているのだが?」
要は昔は阿吽の呼吸でやっていたわけです。
少人数ですし、お互い気心もしれている。お互い分かっているからです。
そう、だからこそ、人が増えた今、コミュニケーションには、力を入れている。
でも、うまくいかない。
なぜか?
モデルを考えてみましょう。
コミュニケーションパスモデルを考えます。
まず1対1の場合。この場合のコミュニケーションパスは1本です。
3人になると3本。
4人では6本
5人では10本
・・・
これは、「組み合わせ」の計算ですね。5の場合は5から2つをとる組み合わせ、なので10というわけです。
「だから全体会議で伝達してれば、これは1本で住むわけなのだろう?だから全体会議で皆に伝えているわけで・・・」
確かにそう見えるのですが、それだけで果たして正しく伝わってますか?

共通言語、用語の問題

もしかして当たり前のように使っている言葉がありませんか?その会社だけで使っているような言葉が。
どこの会社でもあるはずです。独特の言葉、言い回しが。
なぜそういうことが起きるのでしょうか?
理由は簡単。いちいち説明しなくても済むからです。
言葉は最大の発明だと思います。
例えば「山」という言葉。これを一言言うだけで相手に伝わるからです。
外国にいってそのものズバリの単語を知らないケースがあります。
それを想定してみるとよくわかるのでは無いでしょうか?
「山」を知らなかったらいろいろ説明しなければならないですよね?
「地球の地下活動によってマグマが。。。で結果として地面が隆起して。。。。」という感じになってしまうはずです。
それくらい言葉のもつ意味は大事だということです。
この用語化、記号化の最たるものが「数学」ですね。
たった一つの記号であるものを的確に表します。
∫、Σなど言葉で書いたら大変ですが、簡単に記すことが出来ます。
会社の話に戻ります。
会社内にはいろんな業務があります。どの会社にも独自の「言葉」があるのです。これが正しく伝わっていないケースがあります。
「そんなわけないだろう。皆ちゃんと通じている」
そう思われる方も多いと思います。
ですが、先程の「山」に戻って考えて見ます。
誰でも良いので周りの方々に「山」のイメージを語ってもらってください。
ある方は「富士山」を思い浮かべるかもしれません、
しかし、他のある方は「砂山」を思い浮かべるかもしれません。
いろんな「山」があるわけです。
業務用語もつきつめて聞いてみます。
例えば「伝票処理日」という言葉を考えてみます。
伝票を処理する日なのですが、何をもって「処理」というのか?
もしかしたら、人によってその解釈は異なっているかもしれないのです。
「この『処理』のもつ意味は?この『データ』はいつ作られるのか?」
細かいことを聞いていくとかなりずれて解釈されていることも多いです。
このような小さなズレが大きな問題を引き起こすことがあります。
多くの人たちが増えてくると、この小さなズレがどんどん大きくなって行きます。この言葉の定義が属人化していればなおさらのこと。
人が変われば解釈も微妙に変わってくるわけです。
同じ言葉を語っているから伝わっていると思ったら大間違い。
この「用語」「共通言語」が定まっていない世界だと、先に説明したように、説明のための多くの「パス」が必要となってしまうのです。
この「用語」「共通言語」を定めると、一気にこの「パス」は大幅に削減するはずです。

用語定義集の重要性

これが「用語定義集」を作る最大の理由なのです。
これにより、お互いがきちんと会話できるようになります。
きちんとした定義がなされている場合は、最強です。
余計なことを言わなくても通じるからです。
新しい言葉が出てきたら・・・
その時はきちんと用語を定義するということです。
この用語集は新人が入ってきた時にも威力を発揮します。
これを読みさえすれば、社内でどういう会話がされているかすぐにわかるからです。
実はここが最も重要なのです。
最初からその仕事に携わってきていた人たちは、既にそのことを熟知しています。
しかし、当然ですが徐々に新しい人が入ってくるわけです。
何も無ければ通常、仕事をしながら覚えるのですが、ここで思い違い、思い込みが発生することが多いわけです。
この微妙なズレも、時間が経つに連れて問題が出てくる元凶なわけです。
この用語集、最も簡単な運用方法は前にも書きましたがWikiの活用です。
これなら、皆で修正できますし、誰が直したのか一目瞭然だからです。
エクセルで管理するとファイルの在り場所がわからなくなったり・・・といろいろ問題が出てきます。
だからこそイントラネット上に置くのが望ましい訳です。

組織運営とITとの関係性

これは、IT構築には必須の作業です。
ですが、上記の話でもわかるように、人間系の組織運営でもこのような「定義」作業が必須であるということです。
特に、人数が増えれば増えるほど、重要になります。
要は組織運営自体もITそのものであるということなのです。
「ITなんて関係ない」と経営者は決して言えない理由がここにあります。
まずは用語の整理をしてみましょう。
それから次の課題へと取り組むことにします。
次の課題はその「用語」をキャッチボールする「主体」についてとなります。
それはまたの機会に書くことにします。