日本企業における「CIO(最高情報責任者)」は、欧米とは意味合いが大きく異なります。
多くの場合、それは“情報システム部門の責任者”でしかなく、経営戦略との接続がなされていません。
しかし、デジタル技術が企業競争力を左右する現代において、
ITは「現場の効率化ツール」ではなく、「事業の根幹を変革する力」です。
さらに昨今言われるDX時代に必要不可欠となる「経営と現場の橋渡し役」として、従来のCIO(情報統括責任者)像を超えた機能を果たす進化型CIO。それを私は「CIO2.0」と呼んでいます。
単なる“ITの責任者”ではなく、企業の構造課題を見抜き、システム・データ・業務・人材を含む全体アーキテクチャを設計し、現場と共に変革を進めていく実践者。さらに、社内人材の発掘と育成までを担う、人材開発型CIOでもあります。
CIO2.0が求められる背景
従来の日本型CIOは、多くの場合「情シス部門のトップ」に過ぎず、経営戦略や人材育成にまで関与できていませんでした。
しかし、DXの本質は「構造変革」です。IT導入やデジタル技術の活用は、その手段にすぎません。
構造変革を実現するには:
- 経営課題とシステム課題をつなぐ“翻訳力”
- 組織・人材構造を設計し直す“人間理解”
- 自走する人材を育てる“育成設計”
といった、高次の思考力と実行力が不可欠です。
ここに対応できるのが「CIO2.0」なのです。
CIO2.0が備える力
CIO2.0であるためには、最低限以下の”力”が必要となります。
項目 | 説明 |
---|---|
構造化・抽象化力 | システム、データ、業務、人材……すべてを「構造」として捉え、設計できる思考力。 |
課題本質の見抜き力 | 顕在化している“困りごと”の奥にある、本質的な構造欠陥を特定する診断力。 |
人材の選抜と育成設計力 | 組織に埋もれている“変革人材の原石”を見つけ、育成計画を構造的に描く力。単なる教育計画ではなく、役割付与・経験設計・支援の仕組みまで整備する。 |
行動変容を起こす力 | 人間系の行動設計までを含め、意識と行動を変えていく“働きかけのデザイン力”。 |
ファシリテーション力と伴走力 | 単なる提案ではなく、社内に入り込み、共に考え、共に走りながら変化を定着させる。 |
CIO1.0とCIO2.0の違い
観点 | CIO1.0 | CIO2.0 |
---|---|---|
主な役割 | IT資産の管理者 | 経営構造改革の設計者 |
対象領域 | 社内システム | 事業、組織、人材まで |
思考方法 | 技術ベース | 抽象構造ベース(構造×行動) |
外部との関係 | ベンダ管理 | ベンダの思考を読み解く評価者 |
社内への影響力 | 情報部門に限定 | 経営と現場の橋渡し |
CIO2.0がいないと、DXはこうなる
- システムは刷新されたが、現場の行動が変わっていない
- ベンダ提案通りに進めたが、結局現場にフィットしない仕組みになった
- コンサルの資料は立派だが、誰も腹落ちせず、棚に眠っている
こうした事例は、まさに「CIO不在」がもたらした悲劇です。
「社外CIO2.0」という選択肢
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- ベンダやコンサルの提案の“真偽”を見抜き、貴社にとっての最適解を共に探します。
- 社内に眠る“変革の核”を見極め、自走できる組織へと育てていきます。